インフレと景気動向

今週の振り返り

ここ最近起こった事の内下記2点について記載します。

この記事に書いてあること

  • インフレ CPI,PPIはエネルギー価格が落ち着けば上昇は頭打ち?
  • 景気動向 市場の関心はインフレから景気動向へシフトしていく

インフレは頭打ち?

CPI(消費者物価指数)

4月12日に発表されたアメリカのCPI(消費者物価指数)は

総合:対前年比 +8.5%
コア:対前年比+6.5%

とほぼ市場予想通りの数値となりました。

これまでのCPIの対前年比は下記の通りとなります。

上記のグラフからも21年の4月からはFRBが目標とする2%付近を大きく上回っています。
この事からも来月CPIの対前年比の伸びが鈍化すると考えられています。

PPI(生産者物価指数)

CPIが発表された翌日の4月13日にPPIが発表されました。

総合:対前年比 11.2%
コア:対前年比  9.2%

と市場予想を上回る数値となりました。

これまでのPPIの対前年比は下記の通りとなります。

上記グラフからも21年3月以降FRBが目標とする2%を大きく上回っています。
しかし、今回の大きな伸びはロシアのウクライナ侵攻による原油価格上昇の影響を大きく受けています。

上のチャートはWTI原油価格のチャートになります。
2月24日に開始されたウクライナ侵攻後、ロシアのSWIFT排除等によりWTI原油価格は一時120ドル後半まで急伸しました。
今回のPPIは上記原油価格上昇の影響を大きく受け上昇したと思われます。
その後はアメリカの1日約100万バレルの備蓄放出(約半年間実施予定)発表等を受け上値が重い展開となっています。

上記の事からも今後はエネルギー価格の落ち着きと共にCPI,PPIの上昇も落ち着くと思われます。

景気動向

CPI,PPIの発表後米10年債金利の利回りは下落しました。
利回りが下落したという事は債券が買われた事を示します。

通常CPIが上昇すればFRBの金融引き締めが加速する事となり、債券利回りが上昇するのですが、今回は逆の動きをしました。

これは、先日発表されたFOMC議事要旨の内容通り0.5%の利上げと月950億ドルのQTが行われる事が今回のCPIの数値で確実性が増し、市場が今回の金融引き締めに耐えられないのではないか、景気が減速するのではないかという不安から買われたと思われます。

上記の現象からも市場はインフレから景気動向へと注目が移っていると思われます。

この景気動向への注目の兆候は3月FOMC時にも見られました。

上記チャートは3月FOMCが行われた3月16日(日本時間17日)のS&P500の1時間足です。
FOMC声明文発表とパウエル議長会見が行われた後株価が上昇しています。

このFOMC声明文とパルエル議長会見の中で「経済活動と雇用に関する指標は力強さを増し続ける」とインフレが高進する中でアメリカ経済は堅調に拡大するとの景気判断を出しています。

この内容を受け株価は上昇したと考えられます。

そのため今後はCPIやPPIと合わせてISM製造業(非製造業)景気指数等の指標に注目が集まると思われます。

ISM製造業・非製造業景気指数

米供給管理協会が毎月第1営業日に「ISM製造業景気指数」を、第3営業日に「ISM非製造業景気指数」を発表します。

これは企業の購買担当役員に生産・新規受注・在庫・雇用等を1ヶ月前と比較し「良い」「同じ」「悪い」の三択のアンケート調査を実施。
その回答をもとに景気動向指数が作成されています。
企業の景況感を表すため景気の先行指標とされています。

この指数が50%を超えれば景気拡大、下回ると景気後退を示すとされています。

この指標は毎回の数値を見て、前回より何ポイント下がった・上がったと判断をするのではなく、トレンドで見ることが大切だと思っています。

他にも、シカゴPMI指数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、NY連銀製造業景気指数等の景気指数があります。

今回は最近起こったCPI,PPI指数と景気動向について記載致しました。

また、次回もよろしくお願いします。

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