今回は経済停滞懸念と5月FOMCを前に下記2点について記載してきます。
この記事に書いてあること
- 市場の敵となったFRB:中立金利迄は株式市場を無視するか
- 株式の魅力が薄くなる:債券リターンが4%迄上昇すると株式と同等の利回りとなる
- 世界経済停滞:中国ゼロコロナ政策、ロシアからの資源転換が急務な欧州
市場の敵となったFRB
5月3日、4日でFOMCが開催されます。
今回は前回議事録で判明した0.5%の利上げとQTの開始について注目が集まっています。
FOMCを前に株価は下落し、S&P500は年初来リターンが-13.31%となっています。
中立金利まではFRBはハト派⁉
FRBが中立金利とされる2%~2.5%迄年内に利上げするとの見方を市場は強めてきています。
この急速な利上げに市場はタカ派であるとの認識をしていますが、FRBはハト派の認識をしているのではと考えています。
前回のFOMCで0.25%の利上げを実施し、現在の政策金利0.25%~0.5%となっています。
そして今後も政策金利の上昇が予想されているのですが、中立金利迄は緩和状態であるとFRBは認識していると思われます。
なので、中立金利までの利上げは株式市場の状態を無視して利上げするのではとの見方をしています。
その背景には11月の中間選挙があります。
バイデン政権の支持率40%と低迷しており、特に経済政策に関しては支持38%と最も低迷しています。
そのため民主党内では11月までにインフレ対処しなければ敗北するとの認識が広がっている事も大きな要因となっていると思われます。
FRBはリーマンショック以降市場の味方でしたが、今回も株式市場の味方となり利上げを遅らせる可能性は低いと思います。
また、市場はFRBをタカ派と認識しているが、FRB自身はハト派の自覚を持っている。
この市場とFRBの認識のずれは株式市場に混乱をもたらす要素となりえると考えています。
QTの内容次第では更にドル高・円安の加速!?
4月FOMC議事録では月950億ドルの縮小を実施する旨の記載がありました。
5月にQTが発表された場合、縮小方法が一つの注目点となります。
満期を迎えての自然減で対処可能なペースなのか、売却を行わないと間に合わないペースなのか。。
もし仮に売却を行い、アメリカ銀行のみで放出される債券の受け皿となれなかった場合、日本の銀行等にも積極的に購入を求められる可能性が十分にあります。
日本の債券利回りが0.25%で指値オペされている今、アメリカの高利回りの債券は日本メガバンクに取ってもメリットがある投資対象となるでしょう。
そうなった場合は円をドルに換金し、債券を購入するため円安・ドル高が進む可能性があります。
株式の魅力が薄くなる!?
政策金利の利上げとQTの実施された場合債券の利回りは今以上に上昇します。
債券の利回りが4%に到達した時、株式の配当+自社株買いのリターンに匹敵するため、市場はより価格が安定する株式よりも債券を購入するようになると思われます。
これまで株式:国債を7:3で運用していた人が株式:国債を5:5にポートフォリオを調整する等の株から債券への資金移動が起こる可能性があります。
世界経済停滞懸念
アメリカでは中立金利まで政策金利を急ピッチに上げる見方が出ている中、世界経済はロシアによるウクライナ侵攻、中国のゼロコロナ政策等により成長鈍化の懸念が出てきています。
下記グラフは世界各国GDPの割合を表したものです。
今回記載する中国とEUの代表国(ドイツ、イギリス、フランス、イタリア)そしてロシアを合わせると35.1%となります。
これだけの割合を占める国々に下記事項による経済リセッションの恐れが出てきているのです。
中国のゼロコロナ政策
中国でのコロナ感染者数が下記のように3月半ばから急増しています。
これに対して中国はゼロコロナ政策の元に上海等でのロックダウンを行い感染者数を抑えようとしています。
上海に続き北京でも感染者数の増加に伴いロックダウンされる可能性が高くなっており、更なるサプライチェーンに混乱が起こる懸念が出てきているのです。
このサプライチェーンの混乱により米国等世界での物価上昇が継続するとの見方もでています。
このゼロコロナ政策は11月の全人代迄行われるのではとの見方が強まっています。
ロシアによるウクライナ侵攻
ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから2か月半が経ちました。
ロシアのswift排除等の厳しい経済制裁が科されています。
しかし、欧州は天然ガスをロシアに依存している事から取引が続いています。
そんな中27日にロシアがポーランド、ブルガリアの2国がロシアルーブルでの支払いを行わなかったとして供給停止を決定しました。
この措置は他の国、地域にも同様に行う事を発表しており、欧州地域への天然ガス供給が停止されればインフレが加速し、リセッションする可能性が高くなってきます。
今回はFRBの姿勢と市場の捉え方、世界経済の懸念について記載しました。
また、次回もよろしくお願いします。
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