アメリカ経済はスタグフレーションに突入している?

今週の振り返り

今回はスタグフレーションに突入した可能性について記載していきます。

この記事に書いてあること

  • スタグフレーションとは景気後退の中で物価が上昇すること。
  • アメリカGDP2期連続マイナス成長、CPIは右肩上がり。→景気後退の中、物価は上昇。

スタグフレーションとは

まずは、スタグフレーションについてです。

スタグフレーションとは、景気が後退していく中でインフレーション(物の値段が上昇)が同時に進行していく事です。

通常であれば、景気が悪くなると需要が落ち込むため、物の価格は下落していきます。
しかし、スタグフレーション下では景気が悪くなっても物価が上昇する現象が発生します。

スタグフレーションは石油や食料等の生活必需品の供給が不足状況下で起こりやすいと言われています。
エネルギーや原材料の供給が少なくなり、価格が上昇することで商品の製造や仕入れ価格が上がります。
しかし、不景気の中では消費者への販売価格を上げ、企業が価格転嫁することが難しくなります。
そのため、企業の利益も減り、社員の賃金も上げる事が難しくなるのです。

スタグフレーション事例

過去には、アメリカでは1979年の第2次オイルショックにより、スタグフレーションが深刻化する事態になりました。
当時はロナルド・レーガン大統領による「レーガノミクス」と言われる、減税と経済政策が行われました。
そこにポール・ボルカーFRB議長による強力な金融引き締めによりインフレが終息しました。

現在スタグフレーションが懸念されている理由

2019年12月頃からのコロナウイルスの流行により、生活様式が変化したことにより生活必需品の需要が大きく伸びました。
その一方でロックダウン等の影響により、工場の稼働が停止し供給が不安定になり、需要に対応できなくなった結果、物価上昇をもたらしました。

そこに、ロシアによるウクライナ侵攻が発生しました。
ロシアとウクライナは世界でも有数の穀倉地帯で、ロシア産とウクライナ産を合わせると、小麦が約3割、トウモロコシは約2割を占めています。
そのため、世界に食料危機の懸念が発生し、小麦等の食料価格が上昇したのです。

また、ロシアは天然ガスの埋蔵量世界第2位等エネルギー大国でもあるため供給不安からエネルギー資源価格の高騰が続いているのです。

上記の状況からスタグフレーションが懸念されているのです。

アメリカの2四半期連続GDPマイナス成長

先日アメリカ2022年4月-6月期のGDPが前期比年率-0.9%と発表されました。
2022年1月-3月期のGDPも前期比ー1.6%だったため2四半期連続のマイナス成長となり、定義上景気後退を示すテクニカルリセッションと呼ばれる状態に突入しました。

また、GDPと同時に発表された個人消費が1月-3月期が+1.8%、4月-6月期は+1.0%と個人消費の勢いは減少する形となりました。
しかし、個人消費の勢いは落ちたもののプラス圏を保っている状況です。

アメリカ消費者物価指数(CPI)

上記で見たGDPは2期連続のマイナス成長となり、定義上景気後退が示されました。

一方でアメリカの消費者物価指数(CPI)は6月は9.1%迄上昇し、CPIは高止まりを続けています。

GDPが2期連続マイナス成長となっている中、物価指数は上昇しており、景気後退の中でインフレーションが発生しているとも捉える事ができます。

今回はアメリカ経済がスタグフレーションに突入している可能性について記載してきました。

また次回もよろしくお願いします。

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