今回は最近再び注目が集まりつつある、新興国株投資について記載していきます。
この記事に書いてあること
- 新興国とは経済水準が先進国に比べて低いものの、高い成長性を秘めた国々
- 生産年齢人口の増加や資源国であることから成長期待が高い
- 超長期投資に不向き。長くても数年単位の投資となるため老後資金形成には向かない
- 政治・経済・社会不安が高いためETFを活用し分散投資を意識することが大切
新興国とは
新興国の定義
新興国の明確な定義はなく、一般的に「日米欧の先進国に対し、経済水準は低いものの、高い成長性を秘めた国々」の事を指します。
有名なものとしてIMFやMSCIが定義を定めていますが、異なる基準によって判断しているため、それぞれ先進国と新興国の違いがでてしまっています。
新興国として認識されている代表的な国々と名称を2つご紹介します。
- BRICS:ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカの頭文字を合わせた造語。
2003年頃に作られ、広い国土と人口の多さ、資源量等を元に成長が期待される国々 - Next11:BRICSに続いて成長が期待できる新興国グループの総称。
マクロ経済の安定性、政治の成熟度、貿易・投資の開放性、教育の質を基準に選定。
新興国が注目される理由
新興国が注目される理由は以下の2つが大きいと思われます。
- 生産年齢人口(中間所得者)の増加
- 資源国であること
生産年齢人口の増加
生産年齢人口とは、生産活動の中心にいる人口層のことで、15歳以上65歳未満の人口が該当します。
生産年齢人口は中間所得者層と被っている事が多いため生産と消費の大部分を占めることになり、経済成長を促す上で重要な存在となります。
特にインド、南アフリカ、ブラジルは今後著しい増加が見込まれています。
資源国であること
2000年代に入り日米欧等の先進国は失業率を下げ、経済を支えるため財政赤字を拡大してきました。
それに対して資源国は資源売却による海外からの収入増加により、財政収支が改善し、財政健全国が多くなってきているのです。
また、今回のウクライナ侵攻に伴いロシアに原油・天然ガス等の資源を依存していたため欧州での制裁の足並みがそろわない等、資源国であることによる国際競争力のアドバンテージが再認識されています。
新興国の成長率が高くなると期待される理由
新興国の成長率が今後高くなると期待されている理由として以下の2つがあげられます。
- 生産年齢人口の増加
- インフラ投資の経済向上性が高い
生産年齢人口の増加
新興国が注目される理由でも挙げた、生産年齢人口の増加がここでも入ってきます。
総人口に占める生産年齢人口の割合が高いと一人当たりの社会福祉の負担が軽くなります。
そのため、生産年齢人口にあたる人々の余剰資金が増加し消費に回すお金が増える事となり、経済活動の活発化につながるのです。
インフラ投資による経済向上の効率性が高い
新興国ではインフラ設備が整っていない地域も多数あります。
そうした地域にインフラ設備を整備する事により、生産効率が上昇し経済成長率の大幅な増加が見込めるのです。
そして、上記で挙げた「生産年齢人口の増加」と「インフラ投資による生産効率の上昇」の両輪による急速な経済成長が期待されているのです。
新興国投資のリスク
新興国投資のリスクはカントリーリスクが先進国に比べて大きいことが挙げられます。
新興国は先進国に比べて政治・経済・社会不安が大きいです。
そのため企業による不正会計や汚職が多い事も特徴となります。
また、軍事クーデターや紛争が発生しやすい事も挙げられます。
また、先進国に比べて市場規模が小さいため、値動きが大きくなりやすい事もリスクの一つとなります。
新興国投資を行う際のポイント
新興国に投資する際のポイントを以下の2つに絞りました。
- 超長期投資向けではなく、長くて数年単位の投資となるため老後資金形成には向かない
- 個別株のリスクが高いためETF等で分散投資が基本となる。
長くて数年単位の投資
まず、1つ目は新興国株は長くて数年単位の投資である事です。
米国株ETF等で10年、20年単位の投資を行い老後の資産形成を行っている人がいると思われます。
新興国株でも同じスタンスで投資を行うのは不向きと言えます。
以下のチャートは新興国株ETF2つのチャートです。
両方とも右肩上がりではなくボックス相場のようなチャートになっています。
それに対して下記S&P500ETFのチャートは右肩上がりになっています。
これは新興国株投資がブーム性の投資であることが大きいと言えます。
一度ブームになると資金が集中し、市場規模が小さいため株価は大きく上昇。
しかし、政治・経済・社会情勢が不安定である事や日米欧の金融政策のあおりを受けやすいため、利確・損切が起きやすいことにより、新興国株は上記のようなチャートになっていると思われます。
個別株はリスクが高いためETFによる購入がおすすめ
新興国ではコンプライアンス等は浸透しておらず、不正会計などが非常に起こりやすい状態です。
そのため、不正会計が行われ企業の信頼がなくなり、売られた場合市場規模も小さいため一気に株価が下落します。
そのため、国全体に投資するようなETFを購入することによりポートフォリオへのダメージを軽減する必要があります。
今回は新興国株投資について記載しました。
また次回もよろしくお願いします。
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