ハト派のFOMCとタカ派の雇用統計

今週の振り返り

今回は2月FOMCと発表された雇用統計について記載していきます。

この記事に書いてあること

  • 2月FOMCは市場にとってハト派の展開となった。
  • 雇用統計は強くFRBの利下げ見通しを後退させる結果だった。
  • 新規失業保険申請件数も22年11月以降下落基調で総じて雇用は強い展開。

2月FOMC

2月FOMC結果

2月1日に発表されたFOMCの政策金利結果は市場参加者の予想通り、+0.25%の利上げを行い目標政策金利を4.5%~4.75%にする事と決まりました。

前回の12月FOMCでの0.5%利上げから利上げ幅縮小となりました。
昨年からの急激な利上げを行った政策効果が実態経済に影響を及ぼす時期となり、FRBも政策効果の吟味を行うために利上げ幅縮小へと踏み切ったと思われます。

パウエル議長の会見

今回はドットチャートやFRBによる経済見通しの発表がないため、パウエル議長の会見に注目が集まりました。

パウエル議長の会見を市場はハト派と受け取った

今回のパウエル議長会見中は株式市場は上昇、債券市場は債券利回り下落となり、両市場共パウエル議長の会見をハト派と受け取りました。

下のチャートはS&P500の15分足です。
パウエル議長の記者会見が始まった4時30分~5時30分の間で約1.9%の上昇を見せています。

続いての下記チャートはアメリカ10年債利回りの15分足です。
パウエル議長の記者会見が行われた4時30分~5時30分の間で利回りが約3.3%下落しています。

楽観的な見通しを立てる株式市場だけでなく、比較的冷静な見通しを立てる債券市場も今回のパウエル議長の会見をハト派と受け止めた事が上記のチャートから読み取れます。

パウエル議長の記者会見キーワードはディスインフレ

パウエル議長が記者会見の中で発した発言を抜粋し、ハト派とタカ派に振り分けてみました。
(あくまでも私が振り分けたので個人的な主観が入っていると思います。ご留意ください。)

タカ派発言の内容は今までとあまり変化がありませんでした。

一方のハト派発言の内容は、ディスインフレと言ったワードが出てきており、FRBもインフレ鈍化を確認し今後進んでいくとの認識を示しました。
元々、インフレを止めるために始めた金融引締めであったため今回のディスインフレ発言は市場に好感されたと思われます。

FOMCのハト派結果に冷や水を浴びせた雇用統計

FOMC結果発表が行われた2日後の2月3日に発表された雇用統計内容は市場とっては良くない内容でした。

雇用統計結果

2月3日に発表された雇用統計の結果は非農業部門雇用者数が予想を上回る51.7万人、失業率が3.4%、平均時給の伸びは前月比+0.3%と総じて強い結果となりました。

NFP(非農業部門雇用者数)と失業率は市場予想より強い内容となりましたが、平均時給は市場予想通りかつ前回値と同じだったため、最も懸念されていた賃金上昇に伴うインフレを示す内容ではありませんでした。

しかし、雇用統計は前月数値の発表のため遅行指標と認識されています。
そのため、最近相次いで発表されたハイテクセクターを中心とした大規模なレイオフを反映していないと言えるでしょう。
そこで、雇用情勢の中でも比較的先行指標となる失業保険申請件数を見ていきます。

強い雇用情勢を示す新規失業保険申請件数

下記グラフは失業保険申請件数の予想と結果を折れ線グラフにしたものです。
昨年の12月第2週以降8週間連続では結果が予想を下回る状況続いています。
また、22年11月第4週に発表された24.1万件をピークに緩やかな下落を描いています。

失業保険申請件数からも総じて雇用情勢は強い事が伺えます。
そして、強い労働市場はFRBの政策金利維持を行う根拠となるため、市場が描く年内利下げ予想とは異なるストーリとなってしまうのです。

今回は2月FOMCと1月分の雇用統計を見ていきました。

また、次回もよろしくお願いします。

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