ここ最近起こった事の内下記2点について記載していきます。
この記事にかいてあること
- ドル円125円突破 日米2年債利回り債の拡大、ドルの実需増大及び供給縮小
- 米国債逆イールド 国債の需給により発生
ドル円125円突破
ドル円は3月28日に125円を付け、2015年夏以来の円安となりました。
この最近の円安には以下の2つの理由によりもたらされていると思います。
日米2年債利回り差
まず1つ目が日米の2年債利回り差の拡大によるドル高(円安)です。
以下のチャートからも日米2年債利回り差とドル円はここ最近近しい動きをしている事がわかります。
基本的に通貨は利率が低いところから高いところに資金がシフトするので、日米2年債利回り差とドル円が連動して動いているのです。
特に日銀の日本国債0.25%の指値オペ発動による、緩和継続路線に対してアメリカは利上げを加速し今後金融引き締めを強める事が予想されているためドル円はドル高(円安)方向へ向かっています。
ドルの実需によるドル高(円安)
続いて2つ目がドルの実需によるドル高(円安)です。
ロシアのウクライナ侵攻により原油、小麦等のコモディティ価格が上昇しました。
そしてロシアへの経済制裁及び欧米による脱ロシアエネルギー依存により、今後も原油価格は高止まりが予想されます。
そうした中でも企業は事業継続のために高止まりしている原油を購入する必要があります。
(昨今の事情を考え買いだめする企業がいてもおかしくない状況です。)
原油や小麦等のコモディティはドル紙幣により決済が行われます。
そのため原油等を購入する際普段より多くのドル紙幣が必要となっており、ドルの実需要が増加しているのです。
また、FRBによる量的引き締め(QT)が今後行われる事が予想されており、市中のドル紙幣は回収される事になります。
ドルの実需用が増している中でのFRBによる量的引き締めが重なり、需給のひっ迫が起きドル高(円安)が加速していると思われます。
米国債逆イールド
3月29日の米債券市場で2年債利回りが10年債利回りを上回る逆イールド現象が確認されました。
(以下のチャートは10年債利回り-2年債利回りです。-0.076パーセントを記録しています。)
なぜ逆イールドはリセッションを示すのか
そもそもなぜ逆イールドはリセッションの兆候と言われるのでしょうか。
この逆イールドはFRBの利上げ時に良く見られる現象です。
FRBが政策金利の引き上げを行う事により、企業がお金を借りる際の利率も上がり設備投資を渋る企業が出てきます。
↓
そうなると市中に出回るお金の量が減り景気が後退していく事が予想されます。
(今回もFRBの政策金利が引き上げられ今後もその勢いは加速していくと考えられています。)
↓
そのため、投資家は景気後退を予測しリスクが低く比較的安全な長期国債に資金をシフトしていきます。
↓
その結果、長期国債の利回りが短期国債の利回りを下回るのです。
(国債の価格が上がれば金利は下落します。)
こうした一連の流れからリセッションの兆候といわれています。
もう一つの理由として銀行の貸し渋りが考えられます。
銀行は短期金利で銀行自身が借り入れを行い、長期金利で貸し出しを行い、その利ザヤで利益を生むビジネスモデルです。
今回のように長期金利が短期金利より低いと利ザヤがなくなるため、貸し渋りをすると考えられます。
その結果、企業はお金を借りる事が出来ず設備投資を行えなくなるため市中に出回るお金の量が減る事により景気の後退が予想されます。
FRBの量的引き締めによって逆イールドが発生している?
今回の逆イールドは上述した利上げ以外にもFRBの量的引き締めによる部分もあると考えられます。
コロナショック以降FRBは毎月米国債を800億ドル、住宅担保ローン証券を400億ドル購入する量的緩和策を実施してきました。
そして量的緩和にて購入してきた債券を今後は満期による償還、もしくは売却していく事が予想されます。
現在FRBは量的引き締めの時期や方法については明言をしていませんが、もし仮に売却による量的引き締めを行う場合国債より住宅担保ローン証券を優先して売却していくのではと考えられています。
(FRBは国債中心のバランスシートが望ましいと考えを示しているためです。)
そのため債券トレーダはFRBが量的引き締めを実施する前に住宅担保ローン証券から国債へ資金をシフトする必要性に迫られていると思います。
その結果国債の中でも最も流動性が高いと言われている10年債に資金が集中し逆イールドが発生しているのではないかと思われます。
今回は最近起こったドル円が2015年夏以来の125円を付けた事、米国債の逆イールドについて記載しました。
また、次回もよろしくお願いいたします。
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