雇用市場の失速

今週の振り返り

今回は雇用市場が失速している可能性について記載していきます。

この記事に書いてあること。

  • 雇用統計は失業率が予想を下回る結果となった事以外はほぼ予想通りとなった。
  • 一方のJOLT求人件数や失業保険申請件数が徐々に悪化しており、雇用市場失速の兆候が見られつつある。

今週の株式・債券市場の振り返り

4月3日~4月6日の債券市場(2年債、10年債)

1週間を通して債券利回りは下落。
2年債利回りが雇用統計結果を受け5月FOMCでの0.25%利上げを織り込んだ事もあり、10年債の下落幅は2年債よりも大きくなりました。

週前半は発表されたADPやISM景気指数等が予想より弱い結果を受け、利回りは低下。
金曜日に発表された雇用統計は失業率が予想より低く、それ以外はほぼ予想通りだった事を受け、5月FOMCでの0.25%利上げ観測が強まり利回りは上昇しました。

4月3日~4月6日の株式市場(主要3指数の動き)

今週の米国株式市場は金曜日がグッドフライデーのため、株式市場は休場でした。
こちらも発表された経済指標が弱く、ディフェンシブ銘柄中心に買いが入りました。

弱い経済指標を受け、景気後退懸念から建機のCAT等景気敏感株が売られました。
一方のヘルスケア系等のディフェンシブ銘柄を中心に買いが集まり、ダウのみ週間でプラスを記録しました。

可もなく、不可もない雇用統計

4月7日はグッドフライデーで株式市場は休場でしたが、雇用統計の発表はありました。
結果はNFPが23.6万人と予想を0.3万人下回りましたが、前回値が+1.5万人の上方修正があり強い結果となりました。
失業率は前月と同じ+3.6%が予想されていましたが、結果は+3.5%と予想を下回りました。
対前年比の平均時給は+4.2%と予想と前回値を下回る結果となりました。

失業率と平均時給が予想より低く好感される内容となりましたが、両方とも0.1%程度と誤差ともいえる範囲内であった事から可もなく、不可もない結果となりました。

雇用統計を受けての市場の反応

株式市場

株式市場はグッドフライデーのため休場でしたが、先物は金曜日の22時迄開いており、雇用統計が発表された21時30分時点でも先物は動いていました。
雇用統計発表時には+0.27%の上昇となりました。
弱い経済指標が続く中での予想より強い内容に一定の安心感が出たため、上昇方向での反応になったと思われます。

債券市場

2年債利回りが+4.71%の上昇、10年債利回りが+3.21%の上昇となりました。
5月FOMCが4月雇用統計発表前に開催されるため、次回FOMC前最後の雇用統計となります。
そのため、予想より強い結果を受け次回FOMCの0.25%利上げ予想が高くなり、債券利回りが上昇する結果となりました。

雇用市場の失速兆候

雇用市場の現状を示す雇用統計は堅調な内容でした。
しかし、雇用市場の先行きを示すJOLT求人労働異動調査、新規失業保険申請件数は市場予想を下回る結果となっています。

JOLT求人労働異動調査

JOLT求人労働異動調査とは労働省が月1回発表する主要産業区分別の労働需要を表した経済指標となります。
労働市場の労働力不足を把握するために用いられる事が多いです。

23年2月の結果は労働市場のタイト感が緩和している結果

4月4日に発表されたJOLTの結果は993万件と21年6月以来となる1,000万件を下回る結果となりました。
しかも、今回発表された数値は23年2月の数値で、3月頭にあったSVB破綻に伴う金融不安発生前の結果となっています。
そのため、今回の結果はSVB破綻を起点とする金融不安を織り込んでいない結果となるのです。
来月発表される3月分の結果にて金融不安の結果がどの程度影響を与えているのか注目されると思われます。

新規失業保険申請件数

新規失業保険申請件数とは毎週木曜日に労働省雇用統計局が、失業者が失業保険給付を始めて申請した件数に季節調整を行い発表するものとなります。
景気動向に対して敏感に反応する指標として知られており、景気先行指数の一つとなります。

2週連続で予想を上回り、20万件を超えるように

4月6日に発表された新規失業保険申請件数は予想の20.1万件を上回り、22.8万件となりました。
また、前回値も19.8万件から24.6万件と約4.8万件の上方修正となりました。
2月最終週から20万件を上回る結果が多くなってきており、18万件~19万件の低位で推移していた値から上昇圧力が強まっていると思われます。

JOLTや新規失業保険申請件数等は今後の雇用統計への数値に影響を及ぼすと考えられます。
JOLTや失業保険申請件数に表れつつある雇用市場の失速が雇用統計に反映されると、いよいよ景気後退が近づいてきている事になります。

今回は雇用市場の失速について記載しました。

また、次回もよろしくお願いします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました